「悩みを巡る冒険 1」
今回は、悩みを巡る冒険に出かけてみましょう。
悩みの迷路を、アリの巣を探検するように巡ってみましょう。
迷路の中の岐路で、どうしたら悩み脱出への正しい道を選択することができるのか、
それを考えてみます。
例えば、失恋です。主人公は32歳独身男性。
「好きな男の人ができたの」
3年付き合った2歳年上の彼女からの別れの言葉。突然で予想外の失恋。
・俺のどこがいけなかったんだ?
・相手はどんな男?
・いつから二股掛けられていたんだ?
失恋という迷路に迷い込んでしまった彼。
ここに並んだ3つの疑問も、誰しもが抱きがちなものです。
でも、この疑問にひとつひとつ答えていくことによって、
悩みは解消されるでしょうか?
去って行った彼女は帰ってくるでしょうか? 答えはNOですよね。
出口のない迷路を、いつまでも彷徨うばかりです。
さて、ではこちらのケースはどうでしょう?
介護に遭遇した、45歳独身女性。
「中等度認知症の前期ですね」
77歳の母親が医者から宣告を受けた。母一人、娘一人。頼れる人はいない。
・これから介護をどうしよう?
・治療はどうすればいいの?
・仕事は続けられる? お金は?
介護という初体験の迷路に迷い込んでしまった彼女。
この3つの疑問に答えを見つけたとして、お母さんの認知症がよくなるでしょうか? 
それはわかりません。
しかし、お母さんの認知症という病気に対して、これからの対応を模索しています。
失恋した32歳男性との違いは明白ですね。
失恋した男性は、その原因や経緯を探ろうとして、視線は過去に向いています。
これに対して、介護に遭遇した45歳女性の目は未来に向いています。
32歳男性の失恋は「悩み」ですが、
45歳女性の介護への思いは、悩みではなく、「対応策の模索」なのです。
もちろん、32歳男性が、自分の至らなかったところを反省して、
これからに活かすのなら、それは悩んだ意味があるかもしれません。
介護の女性が、認知症になった母親を恨んだり、自分の人生を悔やんだりすると、
それは「悩み」になってしまいます。
未来へ進むのか、過去に戻るのか、現状に留まるのか。
ここに岐路があります。
悩みになるかならないかの分かれ道があるのです。
 

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