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悩みの効用
悩みは脱出するものです。このコラムも、そのためのコラムです。
ただ、悩みをマイナスにだけ捉えるのも、なんだかなあ、という気がします。
せっかく悩んでいるのだから、人生の貴重な時間を費やしているのだから、悩むことにだって意味があるのかも、と考えたりします。
プラスの悩みというものがあるとしたら、それはどんなものでしょうか?
例えば、なかなかパートナーができなくて悩んでいるAさん。
どうしたらパートナーができるのか、自分の魅力をアップするには何をすればいいのか、周囲の人の意見も聞きながらチェックリストを作り上げ、それを毎日実行しています。
一方、職場の同僚から、いじめに近い仕打ちを受けているBさん。
自分のどこが相手を刺激してしまうのか、できていないところ、できているところを、できるだけ客観的に自己診断しているところです。
また、家族とぶつかることの多いCさん。
家族ゆえに、各人がどうしてもわがままになってしまい、我慢が効かなくなってしまいます。同居している姉からは、会社のストレスをまともにぶつけられ、姉妹喧嘩が絶えません。どうすれば、いい意味での距離感を保ち、笑顔で接することができるようになるのか、模索中です。
三者三様に、悩みながらも、その対策を検討しています。
そしてもし、実際に変わることができたら、それは悩んだ意味があった、ということになるのかもしれません。自分は正しい、間違っているのは自分以外の誰かだ、というタイプより、ずっとマシです。 悩むという不安定な状態が、ステップアップのキッカケを作ってくれた、と言うことでしょうか。
ただ、ここで注意すべきことがあります。
お気づきの方もいると思いますが、Aさんも、Bさんも、Cさんも、目線は皆さん、自分を向いています。自分を見つめ直し、自分の健康診断をしている訳ですから、当然といえば当然のことです。
ところが、自分向きの目線には、弊害が付きまといます。
実は、Bさんをいじめているのは、Aさんだったりします。
Aさんは自分の悩み解消に夢中で、自分がBさんの悩みの種だということに思いが及んでいません。
BさんとCさんは、同居している姉妹だったりします。
BさんはAさんのことは気にしていますが、妹のCさんには、ほとんど無意識に感情をさらけ出してしまいます。
もし、AさんがBさんの気持ちに気づいたら、Aさんの悩みは解決するかもしれません。Aさんの魅力アップにつながるからです。
同じように、もし、Bさんが妹のCさんの気持ちに気づいたら、Bさんの悩みは解決するかもしれません。自分のできていないところが見えたからです。
私たちは、目に見えないところでつながっています。いつの間にか影響を受け、いつの間にか影響を与えています。
Aさん、Bさん、Cさんのように、直接的な関係はなくても、影響を与え合っています。時に被害者であり、時に加害者でもあります。
自分が悩んでいる時、その時はその悩みに囚われがちですが、自分も人を悩ませているかもしれないと想像してみましょう。
世界が少し広がるかもしれません。
 

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