身の上相談 4
「身の上相談」の最終回です。
人の相談に乗ることで、悩む側から悩みを聞く側に回る、これが悩み脱出法のひとつでした。
しかしこの時、気をつけなければならない落とし穴があります。
それは、喋りすぎる、という落とし穴です。
老婆心から、つい自分の体験談などを語りすぎてしまうのです。
しかし、考えてもみてください。
悩みを抱えている人は、自分の悩みで頭が一杯です。一杯になっているコップに、いくらアドバイスの水を注ぎ入れても、水はこぼれ落ちて行くばかりです。そればかりか、混乱に拍車をかけることにもなりかねません。
回答者からの言葉が届くようになるためには、満杯になっている相談者の悩みの水を減らす必要があります。そのためには、どうすればいいのでしょうか?
相手に語ってもらうのです。
語ることによって悩みは整理され、コップの水は減って行きます。
問題はこの後です。
減ったコップに、アドバイスの言葉を注ぐべきでしょうか?
人は自己治癒力というものを持っています。
もし、アドバイスをするとしたら、この自己治癒力を高めるような言葉こそふさわしいかもしれません。
恐らくそれは、対症療法的な具体策ではないはずです。
熱が出たら熱を下げる、咳が出たら咳を止める、確かにそれも必要なときがありますが、それよりも大切なのは、ゆっくり体を休め、栄養をとり、体力を回復することです。
そして何より、簡単にはカゼをひかないような体を作り上げることです。
そのためには、日々の食事、睡眠、運動、ストレスの解放などが大切になってきます。
悩みに対する自己治癒力も同じことが言えます。
悩まない体質になることが、悩みからの確実な脱出法です。
アドバイスをするなら、体質改善につながるような言葉を贈りたいものです。
相談者の方が、自分自身の力で悩みを乗り越えられるように。
このコラムが、その一助になれば幸いです。
 

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