批判を浴びせられる人
例えば、面と向かって批判をされたとします。
「あなたのそんなところが許せない!」
途端に、Aさんの心はざわめき立ちます。
「何か失礼なことをしたのだろうか?」
「嫌われているのだろうか?」
「わたしは評価されていないの?」
「やっぱり私はダメなんだ…」
相手の言葉を正面から受けて、ダメージが自分自身の内部へと向かいます。
同じようなことを言われても、Bさんの反応は違います。
「あんなひどい言い方しなくても」
「虫の居所が悪かった?」
「積もり積もった不満が爆発したんだろうか?」
気持ちのベクトルが、自分ではなく、相手の方に向いています。
もちろん、批判をされて我が身を振り返らないということは、反省がない、改善がないということにもなりかねません。でも、Bさんの場合、悩みの泥沼にはまり込むことは少なそうです。
では、こういう受け止め方はどうでしょうか?
「もしかして、私のためを思って言ってくれている?」
人が良すぎると言われればそれまでですが、これはこれで、とても前向きな捉え方には違いありません。
さて、これらの受け止め方は、気持ちのベクトルの向きこそ違いますが、目線の高さはあまり変わりません。
では、目線の高さをグッと上げてみたらどうなるでしょうか?
批判の言葉を浴びせる相手とそれに対峙するあなた。
その向かい合っている二人を、鳥の目線で上空から見たらどうでしょう? 
もしくは、その二人をヘリコプターから実況中継するレポーターの目線で眺めたらどうでしょう?
「アッといま『あなたのそんなところが許せない!』という批判が浴びせられた模様です。上空からは確認しづらいですが、Aさんはうろたえて、うつむき加減です。何やら自分を責めているようで、悩みの泥沼にはまってしまった模様です。これは何日か後を引きそうですね。暴言を吐いた相手は、スタスタとその場から立ち去ってしまいました…」
さあ、ここまで来たら、あと一歩です。
次は、現実世界から空想の世界に足を踏み入れてみましょう。自分を物語の主人公にしてしまうのです。『批判を浴びせられる人』という物語の主人公です。
「主人公は批判を浴びせられています。うろたえて泣きそうになっています。相手はそんな主人公を許そうとしません。なぜ相手は許そうとせず、主人公は泣きそうになっているのでしょうか? そしてその後、物語はどのような展開を見せるのでしょう? 主人公は立ち直り、相手と和解することができるのでしょうか? それとも…」
人生は物語です。悲劇にでもなれば喜劇にもなり、感動物にもなれば、冒険物にもなります。場合によってはファンタジーやホラーにもなるかもしれません。ジャンルは色々ありますが、実は、物語の種類は2種類しかありません。
それは、面白い物語と面白くない物語です。
そして、どのような物語にするかは、主人公のあなた次第です。内向きに悩んでいる物語が面白いか、外向き、前向きな物語が面白いか、アクション物が面白いか、コメディーが面白いか…。
自分の悩みを、目線を変えながら様々な角度で眺めてみてはいかがでしょう? それも一興かもしれませんよ。
 

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