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視 点
例えば、会社でいじめられている人がいるとします。
辛らつで陰湿な言動・メール、執拗な嫌がらせ、ネグレクト…。
もちろん、精神的にかなり追い詰められているとしたら、逃げる、闘う、訴えるなど、具体的な対応策を考える必要があります。
ここでは、まだそこまでは行っていないケースを考えてみましょう。
仮に、あなたがその被害者とします。憂鬱な気分にはなりますが、まだ、出社はできています。自分にも非があるとしても、相手のやり方は度を越しているのではないか? あなたはそう感じています。
この時、あなたを悩みの淵から救い上げてくれるのは、何でしょうか? あなたの視点でしょうか、あなた以外の視点でしょうか?
あなたは悩みの深い穴に落ちているわけですから、周囲を冷静に見つめることは難しいでしょう。では、あなた以外の人はどうでしょうか?
例えば、加害者です。相手はどういうふうにあなたを眺めているでしょう。深い穴の底でもがいているあなたを、せせら笑っているでしょうか? それとも、あなたのことなど実は眼中になく、自分のストレス発散に夢中でしょうか? ストレス発散だとしたら、そのストレスの原因は何でしょう。
あなたの同僚はどうでしょう。いじめられているあなたに同情しているでしょうか? なぜ、相談に来ないのか不思議がっていないでしょうか? それとも、単なる会社の風物詩として、高みの見物でしょうか?
年長者はどうでしょう。もしかして、あなたの人生への千本ノックだと思っていないでしょうか?
人にはそれぞれの視点があります。
あなたの周囲の人の数だけ、あなたの悩みに対する見方が存在します。あなたの視点は、その数多くの視点の中のひとつに過ぎません。
もちろん、あなたは当事者です。あなたの人生ですから、あなたは自分の視点で、世の中を、人生を見つめるしかありません。それはそれで、とても大切なことです。
でももし、あなたが悩みの淵に沈み、周囲が見えなくなっているとしたら、あなたにとって大切なのは、あなた以外の視点すべてなのです。
多様な視点は、あなたをひとりにすることがありません。真っ暗な穴の底にいるあなたに、さまざまな光を当ててくれるのです。
 

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